3.たった1つの希望

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ハルのお母さんが病気で亡くなった。その言葉が頭の中でぐるぐる回った。私が引っ越しする前は、あんなに元気でにこにこだったハルのお母さん。とっても暖かくて気持ちいい家族の場所。 ハルのお父さんは、昔に比べてよく笑っていたし、優しくなった気がした。けど、ハルもハルのお父さんも少し寂しげだった。 夕日が沈む中、私はとぼとぼと家に帰る。 「また遊びに来てね」 本当はもっともっとハルと一緒に居たい。約束だってもちろん忘れてない。 私が引っ越ししてからも、ハルからの手紙が楽しみだった。慣れない学校生活もハルの手紙のおかげで頑張ろうって思えたんだ。 でも、ある日からハルからの手紙が途絶えた。ハルはきっと新しい友達ができたんだって。だから、邪魔をしないように手紙を送るのをやめた。 ずっと、新しい2人の曲の歌詞を考えてたのにそれもやめた。大好きな音楽も、今は嫌な思いしか生み出さない。なのに、高校ではまた音楽を選択した。 それはきっと、ハルが居たから。ハルの奏でる音楽が一番好きだから。 ハルとまた笑いたい。けど、できないのに1つ理由があった。それは…。 私の住んでいる家は昔とは違う。他の家より少し大きくて新しい。お庭も広い。
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