3.たった1つの希望

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 高校までは歩いて行けるくらいの距離。空は青くて、太陽は輝いていた。春の風は暖かくてさわやかで心地いい。けど、私の心の中は、もやもやでいっぱいだ。 教室に着くと、早い時間だからか数人の生徒しかいない。席に座り、カバンを置く。入学してから2週間は過ぎている。あれだけクラスメイトに絡まれていたけど、それも落ち着いた。私の事なんか放っておいてほしいのに。 教室がにぎやかになってきた頃、ハルが登校してきた。 「おはよう、ナナ」 にっこりとほほ笑みながら、挨拶してくれるハル。 『おはよう、ハル』 声が出ないことももう慣れた。毎回、ボードに書かないといけないのは苦痛だけど、でも歌を唄わなくて済むからいい。 「今日も朝からお父さんがうっとうしくてさ…。早く子離れしてほしいよ」 とハルは私に構わず、いつものように世間話を始めた。 私は一通り話を聞き、私は勇気を出して手紙を渡した。 『ハルに伝えたいことがあるの。後で読んで』 「わかった。家に帰ったら読むね」 手紙を読んだハルが私を助けてくれるかわからないけど、でも、頼れるのはハルだけなんだ。 ごめんね、ハル。
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