第1章 夜明けの兆し

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私は昔から心臓が弱くて、すごく内気だったの。今の私を見ていると、皆嘘だって言うんだけどね。今も心臓が弱いことには変わりないんだよ。それでも明るくいられるのは、千夏や紬ちゃんのお陰。 小学生、中学生の頃の私は、清水くんと同じような感じの学生だった。人と関わることが嫌で、一人でいることが多い。嫌われない程度には、過ごしていたけどね。目立つことが嫌いで、他の人みたいに運動が出来ない自分が嫌いだった。でも、そんな日常で良いと思ってた。清水くんもそうかもしれないけど、余計なことで悩まずに済むから楽だった。学生時代って、友人関係が一番大切な年だから。私はいつまで生きれるかも分からないのもあって、人と関わるのが嫌だった。そんな考えを変えたのが、千夏だった。千夏は、私が高校一年生になるちょっと前に、こっちに引っ越してきたの。最初、私は千夏と全然仲良くなかったの。千夏は思ったことはズバズバ言えて、だけど嫌われない人なの。今思うと羨ましかったのかもしれない。だから、私は千夏が嫌いだった。あっちが話しかけてくれても、私は気の乗らない返事ぐらいしかしていなかった。私はある日、何でそんなに話しかけてくるのか聞いたの。そしたら、千夏はこう言った。 「普通に仲良くなりたいだけ。だって、心って普通の人じゃん。体が弱くても、私と変わらないんだよ。それぐらいの事で、人と関わらないとかもったいないよ。今まで、学校での良い思い出が一つもなかったわけじゃないでしょ。誰かといるのは楽しいよ。」 ってね。私、親に気遣われてばかりで、普通の人って言ってもらえたのそれが初めてだった。その時、その言葉が嬉しくて、私は初めて馬鹿なぐらいに泣いた。嬉し泣きだった。その時から、私は変わろうと思って、千夏と仲良くなるのを境に、段々色んな人と喋るようになった。そしたら気がついたんだ。壁を自ら作ってただけだったって。私の昔話はこれでおしまい。清水くんは、答え見つかった?
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