電影遊戯トイヴィークル

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 製造技術は上がってもモチーフは私が子供の頃と変わらないのが感慨深い。目を輝かせて商品棚に群がる子供たちと、それを見守る親たちの値段を心配していそうな表情も相変わらずだ。  感傷に、ふと胸が痛んだ。  私もかつてはこの子たちのように玩具(オモチャ)が大好きな子供だった。そしてやがて他の子ともども、こうした玩具(オモチャ)では楽しめなくなって卒業してしまった。もうあの頃には戻れない── 「はい」 「わーい!」 「これ、走らないの!」  レジで会計を済ませた商品を親から受け取ったとたん、幼稚園くらいの子が走り出す。その子の親が慌てて後を追った先は──ゲームコーナーだった。子供はそこで玩具(オモチャ)の箱を開け始めた。  こんなところで、もう?  追いついた母親がそのことを咎めないのも不可解だ。その子は玩具(オモチャ)のロボットを取り出すと、箱を母親に預けて何かのゲームの筐体へ行き、その背もたれのある大型シートに座った。  見れば同じシートがずらっと横に並んでいる。  シートの正面にモニターが貼られ、各シートの間を仕切る板の内側にもモニターが貼られている。そしてシートの真上にかぶさるようにも板が渡され、その下にもモニターがあるようだ。プレイヤーから見ると前と上と左右にモニターが……ずいぶん多いな。  背後は空いているものの半ば個室となった空間に入って遊ぶ。     
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