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通話を切って、ベッドにスマホを投げつけた。
生まれて初めてだ。あんな鋭い感情の言葉を放ったのは…。今までの淡々とした私より、もっと冷たくて、もっと残酷な私が現れてしまった。
そんな私と言葉を交わした相手が、よりによって大切な友達のヒノルだった。色んな言葉で楽しませてくれたヒノルを、言葉で遠ざけた。悔しい…情けない。滲む視界に浮かんだのは、悲しむヒノルの顔だった。
私は初めて、友人と喧嘩した。
そして、涙を零した。
それから1週間が経ち、夏休みに入った。
あの夜から、ヒノルのメッセージは1通も来なくなった。もちろん、私からもメッセージは送らなかった。
謝りの文をスマホに打ち込んだが、送信を押す前に消した。それを何度も繰り返す。繰り返すうちに罪悪感も薄れ、夏休みなんだから勉強に集中しなきゃ、と自分に言い聞かせた。
気づけば夏が過ぎた。そして秋も去った。冬も終わっていた。高校に入って1年が経とうとしていた。そして、春の陽気を感じた今日…
ヒノルからメッセージが届いた。
金曜日の深夜1時。机に向かって、参考書に並ぶ英単語を詰め込んでいた。その時、ピユンとスマホが鳴った。その音を聞いて、ヒノルの顔が浮かんだ。
途切れかけていた集中力は、風に吹かれた綿毛の様に散った。
私は後ろに結んでいた髪を解いて、深く息を吸った。
吸った息を吐いて、メッセージを開いた。
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