小鳥のなきごえ

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スマホの画面に雫が落ちる。それを指で拭うと、再びヒノルからメッセージが現れる。心の中で聞こえるヒノルの言葉が、メッセージの読み方を教えてくれた。 「回文…」 『石 岬 名本』を反対から読んだ。 『ともな きさみ しい』 友 無き 寂しい。 私は飛び散ってた集中力を掻き集めた。解いた髪をもう一度結び直して、机に向かった。そして考えた。ヒノルがくれた言葉達みたいに、心に残るものを。 季節と感情と文字を繋いで、考えるんだ。 私はなりたい。 沢山の事を学んで渡したい。 暖かくて素敵な言葉を… 友達に返してあげられる人になりたい。 ノートに(あふ)れた言葉の中から、光って見えるものだけを一つ一つ掬い上げた。そしてアプリを開く。 途切れたメッセージの先に文字を打つ。 ゆっくりと、丁寧に、手紙を書く様に、 私は言葉を(つむ)いだ。
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