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春陽
深夜。私は海を眺めていた。
沈鬱した石を踏んで岬に立ってる。
春先の潮風が身体を冷やす。
さっき届いた友達からのメッセージ。
開くのを躊躇っていた。悴む指先が不安でさらに冷たくなる。心臓が停まらないように、大きく息を吸って画面をタッチした。
すると、素敵な言葉が現れた。
風で渇いていた瞳が潤む。
私の心に春が甦った。
いつの日だったか…。
いつも通りの夜。
友達のために言葉を紡いだ。
その翌日、友達はとても嬉しそうに「ありがとう」と言ってくれた。いつもは淡白な友達が、初めて見せた、子供みたいに無邪気な姿だった。
たくさん考えて、纏まった気持ち。
それと、あの時に感じた思いを、
私はメッセージに込めた。
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