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バスケ部を引退した中学3年の夏、ヒノルと2つ約束をした。1つ目は受験勉強に専念するためメールは我慢すること。2つ目は高校に入ったらいっぱい遊ぶこと。
私が選んだ高校は国際教養に特化した学校だった、自分の学力より偏差値が少し高い進学校。選んだ理由はヒノルにあった。
言葉が好きで言葉をいっぱい知っているヒノル。そんな友達をみていたら、私も得意な英語を伸ばしたいと思った。
受験勉強に本腰を入れてから5ヶ月後。ヒノルと久しぶりに遊んだのは元旦だった。遊ぶと言っても、合格祈願を兼ねた初詣。
地元の神社で待ち合わせをする。私はお母さんから貰った古いPコートで寒さを凌いでいた。境内へ流れて行く人波を眺めていると、晴れ着姿のヒノルが現れた。柄は桃の花、小柄で小鳥なヒノルによく似合う。
「わぁ、似合ってるよ、ヒノル。桃の花が素敵」
「ありがとお!おばあちゃんから貰ったんだぁ。桃の季節はちょっと先だけどねぇ~。あっ、桃の花の花言葉は、『天下無敵』だよ!」
「その元気の良さは無敵ね」と私は笑った。ヒノルも一緒にピュンと笑った。ヒノルとの会話は相変わらず楽しかった。
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