リップレス×ミッシングリング 前半

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 ふうはゆり子の横顔を見つめて、形の良い鼻から長く息を吐いた。 「あんた、カーディガンとか持ってないの」 「持ってる」 「着れば? 結構、空調効いてるし」 「うん、そうする」  ゆり子は隣の席に置いたバッグを漁り始めた。  ふうは窓から夜空を眺めた。良く晴れているが星は少ない。都会の空だ、仕方がない。  ゆり子の足先から頭の先まで、微かな感触がさっと通り抜けた。  ゆり子はふうを振り返った。 「なんか色々、うまくいくといいね」と、ふうは言った。 「そうね」と、ゆり子はけげんに思いながらも、うなずいた。 「まずは指輪かな」 「うん」  その後二人は深夜まで飲んで、それぞれタクシーで帰宅した。
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