リップレス×ミッシングリング 後半

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   5  体が冷えてきたので、ランニング用のジャージを着た。  ノートPCを開き、表作成ソフトで思いつく場所をまとめ始めた。  朝、会社に向けて部屋を出たところから順番に羅列してみる。 ・駅までの道 ・会社の最寄り駅 ・最寄り駅から会社までの道 ・自分の席と会議室が幾つか ・社員食堂 ・トイレ ・帰りに寄ったデパート ・デパートのトイレ  いつどこで失くしたのか、まるで思い出せない。もう一週間も探しているのだ。  歩いたと思われるところは犬みたいに道路ばかり見て歩いたし、駅やコンビニやデパートなど、遺失物が届きそうな所には電話した。会社の机も、居残って徹底的に探した。部屋だって、本と本の隙間から洗濯機の裏まで探したのだ。 「やっぱり、排水管に入っちゃったんだ……」  だが、キッチンにしろ洗面台にしろバスルームにしろ、排水管にはトラップが着いている。指輪のような固い物が落ちたら音もするはずだ。気が付かないとは思えない。 「あ~あ、この地球上のどこかには絶対あるのに……ひどいよ。魔法か何かで呼び出せればいいのにな」  ゆり子はぶつぶつ言いながら表を作り続けた。     
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