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いつも通りに学校では、友人がいないために誰かと特別話したりするわけでもなかった。窓際の席だったので、開いた窓から入る風に当たりながら、窓の外の景色を見るのが僕の日課だった。今は方角的にも日が当たらないし、とても快適である。
教室を見渡すと、まだ朝で授業前だからか、男子も女子もいくつかのグループに分かれて会話をしていた。特に面白い話をしているようには聞こえなかったので、僕は首はもちろん突っ込むことなどなかった。
もう一度窓へ視線を移したときのことである。
バタンッと教室の後ろのドアが開き、同じクラスメイトの男子が駆け込んでくるなり、こう言った。
「コーラって飲むと、骨、溶けるんやって!」
その男子はクラスの中でもかなり発言力がある、所謂リーダー的存在であった。
その言葉にクラスメイトたちは騒然となった。
「おまっ、そんなわけないだろー」
「ほんとやって、かあちゃんがゆうてたもん」
「コーラって、お前が好きな飲み物やん」
「そうそ、朝から飲んでたらそう言われて没収されたんよ」
僕は、彼らが話しているのをぼーっと見つめていた。
そして、次第にふつふつと腹の底から怒りが湧いてくる。
ガタッという大きな音を立てて、僕はその男子の元まで、ズカズカと歩いていく。
コーラを飲むと、骨が溶ける?
そんなの、嘘だ。
彼の周りにいたクラスメイトは、僕の威圧的な態度に押されて、一歩下がって呆然とそんな僕を見つめていた。
「ねぇ、それ、本当?」
「えっ…な、何が?」
僕はイライラとして、ギロっと彼を睨む。彼の口から、声にならない悲鳴が聞こえた気がした。
「その、コーラは骨を溶かすって話だってば」
「かあちゃんがそう言って…」
「だから、それは本当なのかって聞いてんの!」
「…コーラに、そういう成分が入ってるって…言ってたんやもん…」
我慢しきれずに叫ぶ僕の視界に、涙目の彼の姿が入り、ドキリとして僕は我に返った。
それから、どうしたかは覚えていなかったが、その日から僕は、お兄さんの家へ行かなくなった。
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