特別なもの

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夏になると、思い出すことがある。 額の汗や日本独特のじめじめとした夏の暑さは、心底鬱陶しいと思うのだが、同時に夏は一番胸が高鳴る時期でもあるのだ。 今朝方、蚊が自分の腕の血を吸っているところをパチンッと勢いよく叩くと、俺は、 「美味い季節がやってきた!!」 と叫んで伸びをした。それ程にワクワクしている。 俺は自転車に飛び乗ると、一番近いコンビニまで全速力で走って行った。 冷えた室内に入ってそそくさと目当てのものを買うと、俺は体の熱が出来る限り失われないように早足でコンビニを出た。そして、再び家まで自転車で全速力。 そわそわしながら、俺はコンビニの袋から、あれを取り出すと、早速手をつけた。 「これだよ、これ」 満足げにニヤニヤ笑うと、自室まで歩いて行った俺は机の引き出しを開けて、一枚の写真を見て微笑んだ。
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