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僕は、あの日以来、お兄さんの家へほぼ毎日のように行くようになった。
あの日、帰り道を教えてくれ、親が帰る前に帰った僕は、膝の怪我を学校の体育の授業でしたことにし、難なく外出することを止められずに済んだ。
それもこれも全て、お兄さんのおかげであった。
それだけじゃない。
僕は、コーラという飲み物を知った。
初めて飲んだコーラは変な味がした。喉に違和感を感じるような刺激。甘いが、なんとも言えない不思議な味。だが、それが癖になり、クラスメイトが好んでいた理由も何となくわかった。
学校が終わった放課後は、お兄さんの家へおやつを持って行き、二人でおやつを食べながらコーラを飲んだ。
お兄さんは、作家なだけあって、お話をするのがとても上手で、僕は色々なことを教えてもらった。原稿を実際に見せてくれたこともあった。
ある時、僕にお兄さんはさらに美味しくなるコーラの飲み方を教えてあげようと言った。
「えっ本当!?どんなの?」
すっかりコーラの虜になっていた僕は、目を輝かせてお兄さんを見つめる。
「簡単なことだよ」
「そうなの?」
聞き返す僕に微笑みながら、お兄さんは教えてくれた。
「たっくさんね、汗をかいた後にね、ぐいっと一気に飲むんだよ」
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