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アキラへの有効な治療法が見つからない中、マキはできる限り見舞いに行っていた。少しでも会いたいからだったが、行けばアキラも嬉しそうにしてくれるので、ほんの数分の滞在でも顔を出すようにしていた。
あのパズルも大学、バイト、アキラの見舞いの合間に着実に解き進んでいる。
不思議なことに、届くタイミングはマチマチのはずなのに大学やバイトの予定とは被らず、必ずマキが家にいる時間に届いていた。今はもう3分の2まで解き終わっている。
講義のない今日は常連となったフラワーショップで花束を買い、アキラの病院を目指した。
ドアをノックし開けた先、アキラはベッドに横たわったまま、マキに嬉しそうな笑みを見せる。
「マキ、今日もありがとう」
「久しぶり。今日はいい天気だよ。後で散歩しよっか」
古くなった花を換え、振り返ったマキが見たのは困ったような、悲しそうな目で笑っているアキラだった。
「っごめん、調子悪い日だった?」
「いや……昨日から腕を動かすのもしんどくなってて、起き上がるのはちょっと無理かも」
「、……」
アキラの体は日ごと病魔に侵されていて、前は自力で座ることもできていたのに、今はもうほとんど動かせなくなっていた。試した薬も効果は小さく、このまま終わりのときをただ迎えるだけなのかと、誰もが歯がゆい思いをしていた。
「エミは?今日はいないの?」
エミはアキラが弱っていくのに比例して、ほとんど病室に居ついていると聞いている。
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