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ある日の放課後、春真は今日も陸上部の練習を眺めていた。
春真も毎日休まずに陸上部の練習を見ているわけではない。
陣と遊んたり、同じクラスの友達とカラオケやゲーセンに行くこともある。
だけどその頻度は祐樹と知り合ってからはかなり減っている。
理由は特別ない。
あえて言うならば、気が乗らないから。
ただそれだけだった。
陸上部の全員が校庭を走っている。
もちろん校庭を使っている部活は陸上部だけではない。
今日はサッカー部も一緒にランニングをしていた。
沢山の生徒が塊となって走っているのを見ても、春真はすぐに祐樹を見つけることができた。
最初は平気そうだったけど、何周も周るうちに苦しそうな表情をする祐樹。
春真はそれを見ながら無意識に心の中で祐樹を応援する。
走り終わると両手を膝に置いてうなだれるような格好で肩を上下に大きく揺らしている。
そしてこっちを見た。
春真の心が乱れる。
『違う。
祐樹は俺を見たんじゃない。』
春真はそう気持を落ち着かせる。
そして自分に言い聞かせる。
勘違いしてはいけないと……。
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