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「ポップコーン食べない?」
「俺はいいよ。」
映画館でそう言ってコーラだけを買った春真に、
「僕が買うから一緒に食べよう。」
そう言ってポップコーンを買ってきた。
「なんかさ、映画見ながらポップコーン食べるのが夢だったんだ。
アメリカのホームドラマみたいに。」
春真は子供じみた理由に『可愛いな』なんて思ってしまう自分に、『イヤイヤ、祐樹は男だから』と自分でツッコミを入れる。
映画を見ながらポップコーンに手を伸ばすと、時々手が触れ合う。
それを内心ドキドキしながらも何て事ない素振りでやり過ごした。
暗い部屋の中で隣に祐樹がいるという状況に春真は緊張していた。
絶対に今祐樹を見てはいけない。
見たら何かとてもイケナイ事をしてしまいそうだから。
映画の内容なんてよくわからない。
神経は映画ではなく、隣の祐樹に向いていたから。
春真は『自分が祐樹の隣にいるだけでドキドキしてしまうとわかったらどう思うのだろう……。
俺はどうしてしまったのだろう……。』
春真は自分の心の変化に動揺していた。
スクリーンでは謎解きが始まっている。
春馬の心の謎解きはまだ先になりそうだ。
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