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図書室へ行くと、扉の前で一人の生徒が立っていた。
その視線の先には扉に貼られた張り紙が見える。
『本日、昼休みはお休みします。
放課後は通常通り開いていますので、放課後に来てください。』
「まじか。」
春真はがっくりと肩を落とした。
「芹沢くん……?」
そう言われて隣に立つ生徒に目をやると、西祐樹が数冊の本を持って立っていた。
「あぁ?」
祐樹とは喋ったことがない。
その祐樹に話しかけられたことで、無意識に喧嘩を売るような返事をしてしまった。
「芹沢くんだよね?」
「あ、ああ。
そういうお前は1組の西だよな?」
「そう。」
祐樹は大きな体には似合わない、まるで王子様のような優しい微笑みを顔中にたたえた。
へえ、こいつ笑うと可愛いんだな。
春真は思わずそう思った。
「芹沢くん。
お願いがあるんだけど、聞いてくれないかな?」
「なんだ?お願いって。」
お願いされるような間柄じゃないので、思わず警戒してしまう。
「この本、今日が返却期限なんだけど、放課後に返しておいてくれないかな?」
「ああ?
んなの自分で行きゃいいだろ。」
「そうなんだけど、部活に遅れると先輩がうるさいんだ。
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