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「クソー。
やっぱパン一個じゃもたねー。」
春真はそう言って机に顔をペッタリと付けながら放課後の陸上部を眺めていた。
今日に限っては早く帰って何か食べたいけど、放課後に会う約束をしてしまったから途中で帰るわけにもいかない。
空腹に悶えながら外を眺めていると、時計に目をやる祐樹と目があった。
いや、正確に言えば目が合った気がするだけなんだけど、これにはいつまでも慣れることなく空腹も忘れて早鳴りする心臓に手をやった。
「ああ…馬鹿らしい。」
そうつぶやいて心臓が元に戻るのを待った。
やっと心臓が元のリズムを取り戻した頃にまた祐樹がこちらを見る。
「何でそんなに時間ばっかり気にすんだよ。
こっち見んなよ。」
ドキドキする気持ちを抑えるように机に突っ伏した。
「何でだろう……。」
俺、病気かな……?
もしも祐樹を見てドキドキするのだとしたら、病気であってほしいと思った。
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