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高2ー冬ー
夏の暑さは秋になってもダラダラと続いたのに、冬になった途端に寒くなった。
ポケットに手を入れて歩く春真の息が白い。
図書館の前に着くと、入り口でやはり白い息を吐きながら寒そうに立っている人の姿を見つけて声をかけた。
「ごめん、待たせた?」
「いや、俺が早く来ただけだから。」
祐樹はそう言うと、春真の隣に並んで図書館へ入っていった。
「今日は数学?英語?」
「どうすっかな……。
数学のほうがヤバイんだけど、今からで間に合うか微妙なんだよな。」
「じゃあとりあえず数学からやろうか。」
「うん。」
今日はテスト勉強が全く進まない春真に、祐樹が勉強を教えることになっている。
場所はどちらかの家でも良かったんだけど、家だと気が散って余計なことを考えてしまうので図書館を選んだ。
「じゃあとりあえずこの辺やってみる?」
問題集のテスト範囲を指して祐樹が春真の顔を覗く。
「うん。」
ただそれだけで春真はドキドキして、図書館にしてよかったと心底思った。
「じゃあわからないところがあったら言って。」
祐樹はそう言うと、自分の勉強を始めた。
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