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「あーあ、私も高校生に戻りたいなぁ」
「あ?急に何いいんだすんだよ?」
目の前の横断歩道を通り過ぎていく学生服の彼女たちをみて呟いた。
「高校生に戻ってさ、勉強して、昼ごはんを友達みんなと食べて、放課後はちょっと寄り道して帰るの!あとは…恋したりなんかして!」
運転席の彼に笑いかけると、彼は少しムッとした。
「何言ってんだ。戻れねぇーよ。」
「……まぁ、そうなんだけど。たまには昔に思いを馳せてもいいじゃない?」
コンビニで買った暖かいコーヒーを口に含みながら何気なしに町並みを瞳に移す。
すると、片手に深緑色の冊子をもった学生の姿が目につく。
「お、今日は卒業式かぁ~。」
懐かしぃ~、そう呟くと彼が路肩に車を止めた。
「なぁ、彼女卒業しねぇ?」
彼の方を振り向くと今度は真剣な眼差しの彼。
「え?別れるっていうこと?」
「…なっ!ち、ちげーよ!!誰が別れるか!」
今度は彼が顔を真っ赤にして否定する。
本当に表情がコロコロ変わる。
「…俺の嫁さんになる今と、高校生どっちがいい?」
「………今がいい!」
くしゃくしゃな笑顔で大好きな彼に抱きついた。
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