キミ オモイ

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授業が終わるとちょっと商店街をブラブラとして帰った。だってアイツはそんなに早く帰って来ねえもん。 アクセサリーショップのピアスのコーナーで立ち止まる。このフープのピアスはお気に入りだけれど、新しいものも欲しくなる。別の店で眼鏡をはめたペンギンのキーホルダーを見つけて迷わずレジへ。ラッピングなんてしてもらったの初めてだ。 スーパーへ寄って夕食の材料を買って帰宅。オムライスとサラダを作って夕食を済ませたのが夜の八時。 そろそろいいだろ。 制服から楽な服装に着替える。さっきのキーホルダーを持って玄関を出る。隣の家のインターフォンを鳴らすと、女の子が出てきた。 「よう、紅葉(もみじ)若葉(わかば)帰ってる?」 「ちぃ兄ちゃん!久しぶり。若葉はまだ帰ってないから部屋上がってていいよー。」 嬉しそうに俺を笑顔で迎えてくれるのはアイツの妹の紅葉。それにしても兄貴を呼び捨てにするのか、最近の女子中学生は? 「俺じゃなく若葉を兄ちゃんって呼んでやれよ。」 「えー?若葉は最近説教臭いからやだあ。」 そう言って頬を膨らませて見せた。あのシスコンが妹を説教するのか、見てみたいな。 紅葉の頭を撫でてやると、紅葉は「仕方ないなあ、ちぃちゃんの頼みなら。」と言ってくれた。 それから若葉の部屋に通されて、アイツの帰りを待った。相変わらず殺風景な部屋。昔はもっと、こう男の子って感じで―――。 「来てたんですか、千景。待たせてすみませんでした。」 ドアが静かに開いて若葉が室内に入ってきた。
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