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ドアのガチャリと開く音で目が覚めた。どうやら僕は千景のベッドで眠っていたらしい。
「ただいま、若葉?」
千景の声が聞こえてくる。早く行かなくっちゃ。ベッドから飛び起きて急いで玄関に向かう。
「おかえりなさい、千景。」
やっと千景の顔が見れた。僕たちが付き合って一年。千景の綺麗だった顔は少しだけ大人の男みたいになった。
千景はスーツが似合う男へ変わり始めている。
「何だ、寝てたのならわざわざ起きなくて良かったのに。」
「な、何で寝てたって分かりましたか?」
千景に言われて慌てて身なりを整える。髪とかボサボサで千景に幻滅されてしまったらどうしよう。
「違う違う、ここのとこ涎。はは、若葉でもこんなことあるんだな。」
僕は恥ずかしくてたまらないのに、千景は嬉しそうに笑ってる。
「若葉、顔赤い。可愛い……」
そう言ってゆっくり近づいてくる千景の唇。一週間ぶりのキスに心が満たされていくよう。
僕はとても千景不足でした。千景はどうなんですか?
優しく侵入してきた舌の動きに僕も答えながら、千景の首に腕を回す。
もっと抱きしめ合って一つになれればいいのに……
唇が離れて余韻でボーっとしていると千景はさっさと着替えに行ってしまう。
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