番外編① ~一年後、日常編~

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「今日のお店とても美味しかったですね。」 暗い夜道を手をつないで歩く。うん、千景の手は温かいです。 「あの店、オレもお気に入り。若葉も好きそうだと思ってたから良かった。」 優しく微笑んでくれる千景。いつも僕の事を考えてくれている。 「嬉しいです。今度は千景が僕の家に来てください。僕作りますから。」 「ん?リクエストしてもいいのか?」 「千景が?僕にですか?」 嬉しい!珍しい、千景はいつも何でもいいよって微笑むだけなのに。 「はい!何でも言ってください。僕練習して完璧な物を千景に食べさせたいです!」 気合を入れて拳を握ると千景は吹き出してしまった。 「はは、そこまで気合入れなくってもいいって。簡単なものだから。」 「何ですか?」 「ほら、オレの家族、あんなんだったからさ。鍋ってしたこと無くて、オレは若葉と家族になるつもりだからやってみたいなって……」 千景は少しだけ恥ずかしそうに言う。千景の親の事は千景のせいではないのに。 「千景、今何月だと思ってるんですか?八月ですよ?」 鍋は普通は冬にした方が美味しいでしょう? 「冬も一緒にいるんだから問題ないだろ?作ってよ、若葉。」 そうか、千景は来年も一緒にいようって言ってくれてたんだ。
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