キミ オモイ

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袋からキーホルダーを取り出して不思議そうに見ている。 「不細工な…ペンギンですね。」 それお前にそっくりだけど。気付いて嫌味言ってるのかそうじゃないのかが分からねえ。 「いらねえなら返せよ。」 右手を差し出して試しに言ってみる。本当は返されても困るんだけどな 「こんな可愛いキャラクターは千景には似合わないと思います。」 珍しく若葉が少しだけ大きな声を出した。さっき不細工って言ったよな、その口で。オレに似合わないなら、今の容姿のお前にはもっと似合わないのでは?と思うが止めておく。 今回は渡すことが目的だから。 「あっそ、じゃあそれ返品不可だから。」 そう言って強引に押し付ける。そういや若葉がキーホルダーを付けている所なんて随分見てないけどどこに付けるんだろうな。 「あ、ありがとうございます。」 なぜかキーホルダーを握ってお礼を言う。意外と気に入ったんだろうか、良かった。 本当は珍しく和んでいたからこのまま帰りたかったけれど、このまま朝一緒に登校出来ないのは嫌だから聞くことにした。 「若葉さ、ここんところ朝も避けるようになったよな。オレは心当たりねえんだけど…なんで?」 すると想像通り、若葉の周りの空気が一気に冷たくなった。これは希望する返事は聞けそうにないな。
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