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さっきまで俺の顔を見ていた若葉は、もうオレとは視線を合わせない。こうなることを覚悟で聞いたんだけど…。
「……必要ですか?」
「あ?」
若葉の小さな呟きが聞こえなくて、聞き返す。
「千景はもう高校2年生です。友達もいますし今年度卒業する僕が一緒に登校する必要がありますか?」
へえ、そう来るのか。ついこの間まで何の違和感もなく一緒に登校していたじゃねえか。
「じゃあ、最初にそう言ってから別に登校すればいいだろ?オレはわざわざ避けられる理由が知りたいって言ってんの。オレがなにかしたか?」
隣同士の家から幼馴染同士が同じ学校に行くのに、ここまで避けられたらそっちの方が不自然だ。まあ、本当に会話もなく登校するだけなんだけど。
「千景が悪い訳ではありませんよ。僕だって受験生です、早く登校して受験勉強をしたいのです。」
「課外は受けてないってアッちゃんから聞いた。そうやって少しずつオレから距離を取って、最後は遠くの大学行ってサヨナラって?」
アッちゃんは若葉と同じクラスのもう一人のオレの幼馴染。
若葉の行動なんて見え見えなんだよ。高校受験ん時もそうやってオレから逃げ出そうと計画してたよな。
「課外はともかく、何で大学の事まで…。」
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