キミ オモイ

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失敗した、こんな言い方をして若葉が素直に認める訳なんか無かったんだ。切り札に取っておこうと思った手もオレは馬鹿だからすぐに使ってしまう。 掴んだオレの手を離す事だって、若葉には造作もないことだ。行き場のないオレの手だけがその場所に残される。 若葉は変わらない。プレゼントを渡す前の無表情でオレを見上げている。 「千景には僕の進路は関係ないはずです。これ以上は口を挟まないでいただけますか?」 氷の様に冷たい口調でオレを突き放していく。 そう出来たらオレもラクだよ、諦められたらずっとラクだよ。出来ねえからこんなカッコ悪いことしてんじゃん? 「若葉が何と言おうとオレは納得してない。」 悔しいけどこんな事しか言えない。理由を見つけてここに来るにも時間がかかる。顔だって見たいし声だって聴きたい、それすらこれじゃあ叶わねえ。 二人の間に沈黙が流れて、無意味に時間だけが過ぎていく。 沈黙が紅葉によって破られるまでに五分はかかったと思う。 「…話し終わったの?若葉、晩御飯だって。ちぃちゃんも食べてく?」 険悪な雰囲気を感じ取ったのか扉から紅葉が半分だけ顔を出してる。 「今行きます。千景はどうしますか?」 今度はオレの目を見て聞いてくる。こういうとこ律儀だよな。本当はオレにいて欲しくないくせに。
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