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「チカー!おっはよー。」
今日も突撃が趣味なのかケンはオレに飛びかかってきた。斜め後ろからという予想外の場所からの攻撃でケンを支えようとしたオレまで尻もちをつかされた。いてえ。
「いい加減にしろよ?ケン、オマエ何歳だ?」
「へへっ、ゴメーン。チカと同じ16歳だろ。」
全く悪いとは思ってない顔で謝ってくるのはいつもの事だ。ケンだからこれで許されるのだろうけど。
ケンの身体を両手で浮かして立たせる。ケンが小柄でなければオレがケガするな。そんな事を思いながら自分の体勢も立て直す。
「ねえ、チカ。昨日の話聞いてくれるよな?」
「あ?」
話?何だっけ?昨日は若葉の誕生日で頭がいっぱいでケンの話は右から左へだった。悪いことしたな。
「昨日話したじゃん!ヤな奴がいんの。すげー嫌な感じの!」
オレの返事にケンはぷりぷりと怒りながら話してくる。オマエが怒ったって怖かねーからな?
「チカ?聞いてんの?」
そう言ってケンがオレの進行方向を塞ぐから、オレももう諦めることにした。
「分かった分かった、ここじゃ聞けないから昼休みに屋上な。カズとショウも呼んどけよ?」
こんな面倒くさそうな話をオレだけ聞かされてたまるか。しっかり他の奴らも巻き込んで、解決はアイツらに任せよ。
そんな狡いことを考えた。
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