11

3/4
274人が本棚に入れています
本棚に追加
/41ページ
「な…!?」 奴が動揺した次の瞬間、俺が左手で投げた灰皿が、奴の顔に迫る。 奴は慌てて避ける。が、体勢の崩れは射撃には命取りだ。しかも、そんな強力で扱いづらい拳銃なら、なおさら。 案の定、奴の放った銃弾は床に命中する。奴の残りは、あと一発。 残り一発になったことで、奴はさらに動揺し、動きが鈍る。 俺は素早く床から自分の拳銃を拾い上げ、連射する。乾いた音とともに、奴の顔にいくつかの穴が開いた。 倒れたそいつに近付き、二発撃ち込んでとどめを刺す。流れる赤が、床を汚していく。 …ここは危険だ。ほかに、こいつの協力者がいないとも限らない。 窓から身を投げる。三階だが、背中から落ちれば死ぬことはない。とにかく、ここから離れなければ。 「ぐっ…」 地面に叩きつけられて、思わず呻く。だが、止まってはいられない。脚を引きずりながらも、裏路地を抜け、国道まで走る。
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!