2.倫音、もてなされる。

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「この人は、同業者には面が割れている恐れがあります。それに、ボーイズバーへ体験入店するには…」 倫音にしては珍しく言い淀むように少し溜めてから、横目でチラリとタカシを見やる。 「年を取りすぎています」 「言えてるわ」 「いや、ピチピチだっつーの」 同意しながらゲラゲラと笑う恵子にタカシが反論する。 声に反応したのか、春生が「う~ん…」と寝返りを打つ。慌てて駆け寄る佳乃以外の大人全員でシンクロするように『しーっ』と人差し指を口元に当てた。 再び春生の寝息が聞こえ始めると、囁き声で、しかしキッパリと倫音はアキラに指示を出した。 「では、明日、よろしくお願いします」 「『スターどっきりマル秘報告』の寝起きどっきり仕掛人かよ…って、知らない? 倫音ちゃんが、マーシーのポジションで…」 全員に雑炊を取り分けながら、やはり囁き声で解説する恵子に、20代の4人は無言で固まったまま、それぞれ明後日(あさって)の方向を見ていた。
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