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「この人は、同業者には面が割れている恐れがあります。それに、ボーイズバーへ体験入店するには…」
倫音にしては珍しく言い淀むように少し溜めてから、横目でチラリとタカシを見やる。
「年を取りすぎています」
「言えてるわ」
「いや、ピチピチだっつーの」
同意しながらゲラゲラと笑う恵子にタカシが反論する。
声に反応したのか、春生が「う~ん…」と寝返りを打つ。慌てて駆け寄る佳乃以外の大人全員でシンクロするように『しーっ』と人差し指を口元に当てた。
再び春生の寝息が聞こえ始めると、囁き声で、しかしキッパリと倫音はアキラに指示を出した。
「では、明日、よろしくお願いします」
「『スターどっきりマル秘報告』の寝起きどっきり仕掛人かよ…って、知らない? 倫音ちゃんが、マーシーのポジションで…」
全員に雑炊を取り分けながら、やはり囁き声で解説する恵子に、20代の4人は無言で固まったまま、それぞれ明後日の方向を見ていた。
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