〝みんなの〟遼ちゃん

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 補習授業始業前の教室は、普段の授業とは違って、1年生の教室がある東校舎ではなくて2年生の教室がある中央校舎です。なんと偶然にも遼ちゃんの担任してるクラス。  初めて入る2年生の教室。それだけでドキドキが止まらないのに、遼ちゃんの気配を感じる場所はあたしには勉強どころじゃなくなってしまいます。  補習授業を受けなくてもいいのにあたしに会いにきてくれた茉奈ちゃんが授業始まる前にしてくれたお話しが、そんなあたしのドキドキを何倍も膨らませてしまいました。  クリスマスイブのあの日、遼ちゃんをご指名してくれた野球部員の男の子は若林君で、そのお仲間さんの中にはカップルもいて、茉奈ちゃんもその中の1人だった。それは、後から遼ちゃんからメールで教えてもらってたから知っていたんだけど。  あの日はみんな、カラオケに行って、楽しくてずいぶんと遅くまで騒いでしまったそう。  それで、カラオケ出たところで大学生の男の人のグループに絡まれちゃったみたい。大学生の一人に茉菜ちゃんが腕を掴まれちゃって、 「若林君が私を助けてくれようとして突き飛ばされて、手首を捻挫しちゃったの」  え……、そうだったの? それは遼ちゃんから聞いてなかったよ。あたし、声も出なくなっちゃった。
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