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高校生のときだった。ひろくんに彼女ができた。同じ学年の野球部のマネージャーだった。いつも一緒に登下校をし、休日もデートばかりしていた。たまにたっくんが遊びに誘っても、用事があるとかなんとかいって、断られてばっかりだった。あんまり体よく断るものだから、たっくんは 「お返しだ!」といってパンチした。ひろくんは不機嫌な表情で「わりーな」といって、彼女に頼んで、女の子を紹介してもらうことを約束してくれた。
大学生のときだった。二人は初めて離ればなれになって過ごした。四年間連絡の一つもよこさずに時が経った。ある日のことだった。就職が決まったたっくんのもとに突然、ひろくんから連絡がきた。久しぶりに飯でも食おうとのことだった。会って話したところ、ひろくんはまだ内定をもらっていなかった。たっくんは「お返しだ!」といってひろくんにパンチした。ひろくんは「すまん」とだけいって黙りこんだ。たっくんは「いいよ」といって、二人でラーメンを食った。
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