#2 愚作の再考(愚策の最期)

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2 「し、死んでる、のか?」  瑞希は答えない。  ピクリとも動かない。  ただ虚ろな眼を、僕に向けるだけ。  そのはずなのに。 「死んでるよっ!」  と、アッサリと返答があった。  無邪気な少女の声に聞こえた。 「待ってたよっ!」  いつの間にかーー、血染めの浴室に、見知らぬ少女がいた。    腰まで届きそうな黒く艶やかな髪を、左右の耳のあたりで二つにまとめ、丸っぽい輪郭に幼さを主張する垂れ目ーーたとえて言うなら妹系アイドルのような、諸兄たちの庇護欲を煽る容姿をしている。ボブカットで目鼻立ちがくっきりしている正統派美人の瑞希とは、ある意味では対極だ。  そして、謎の少女はメイド服を着ていた。  メイド喫茶が採用していそうな、胸元が大きく開いた、露出の高い半袖ミニスカタイプ。頭にはメイド服には必須とも言える、白いメイドカチューシャ。ここが浴室ということに配慮しているのか定かではないが、ミニスカメイド服には欠かせないニーソックスは履いておらず、裸足だった。 「ーーこれは、お前の仕業なのか? お前が瑞希を殺したのか?」 「そうだと認めたら、あなたはどうするの?」  少女は、不敵に笑う。 「警察を呼ぶ。そして、お前を殺人犯として突き出す」 「警察はオススメしないね」  やれやれといった感で、少女は大仰に首をすくめてみせた。 「警察を呼んでも、この物語はハッピーエンドには辿り着けないことが明らかになったからね。何度も同じバッドエンドを繰り返したって、無意味でしょ?」 「さっきから何を言ってーー」  世迷い言を吐き続ける少女に、堪忍袋の緒が切れてしまったことを自覚する。いつのまにか、ごくごく自然に握っていたナイフを、脅し目的で少女の細い首筋に突き立てーー。 「ーーえ?」
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