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第1章 出会って早々これはない
「相田さん。僕と付き合わない?」
体育館の裏に呼び出されて告白。
いつものパターンだが今回の言い方的に相手はナルシストタイプだな。
そんなしょうもないことを考えながら
生咲(いさき)は断る口実を考えていた。
とりあえずいつも通り無難に
好きな人がいるとかなんとか
言ってその場を後にした。
嘘をつくのが下手なわたしなので
相手は気づいているかもしれないが
付き合う気がないと分かると
諦めてくれるのでこれでいいのだ。
高校に入ってからまだ3ヶ月経とうかというとこだというのにこれで4回目。なぜこんなにも頻繁に告白されるのか。生咲はいい加減うんざりしていた。
「いっさきぃいー!!」
いきなり背中に覚えのある衝撃がくる。
「ちょっと!!理沙!!
急に飛びついてこないでよ!!」
えへへぇ~とかなんとか言いながら
友達の理沙がベタベタしてくる。
それを引き剥がしつつ何の用なのか聞く。
「え?別に用はないよ?」
溢れんばかりの笑顔で答えるこの子に
呆れとため息が出た。
「もう。私疲れてるんだけど。」
告白を断るのもなんか疲れる。
「おうおう~そりゃお疲れさん~
だって生咲は美人さんだもん~
でも、入学して3ヶ月でほとんど喋ったこともないような子にみんなよく
告白なんかしてくるよねぇ~」
のんびりした喋り方で理沙が答える。
何の用もないとは言っていたが
実のところは私を労うような意味合いで
来たのだろう。
ヘラヘラしたような見た目でこの子は…
「とにかく休み時間終わっちゃうから
さっさと教室に戻ろ。」
理沙を引っ張って教室に向かう。
こんな私に対してこんな風に接して
くれるのは理沙だけだ。
正直感謝してる。
今も昔も。
教室に入って引き出しの中をごそごそとしていると
何か見知らぬものが入っていた。
飾り気のない封筒で中に手紙のようなものが入っている。
若干げっそりしつつ手紙を読むと
放課後四階の空き教室で少し残って
いただけませんか。
待っています。
の言葉。
本日二度目か…
ついてない…
そんなことを思いながら私は授業を聞いた。
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