第1章 出会って早々これはない

2/2
前へ
/83ページ
次へ
「いや、だから無理ですって! 付き合いません!!!」 このやりとりは何度目だろうか。 教室で待っていたのは ちょっと長めのもさっとした髪の毛の ひょろっとした縦に長い感じの男の子だった。 「そもそもあなた誰ですか? 自己紹介お願いします!!!!」 もはや自分でも何を言っているのかわからなかった。 とにかく今回の相手はしつこかったのだ。 「あ!自己紹介もまだで僕はなんて…っ 3年3組の神山翔平です! 神様の山に平らに翔ぶと書いて 神山翔平です!! 好きな食べ物は唐揚げで 嫌いなものは…ないですかね? 特技は…」 「ちょ、そ、そこまで 説明しなくていいですって…」 なんだこの人… やりづらい 「あっ、すいません…」 あっ、って言うのが癖なのだろうか… てか暗そうな見た目なのになんて饒舌… というかマジで帰りたすぎる でもこの人異常にしつこくて なんと言おうとあれよかれよと断らせてくれない。 正直なんてウザさ。 あー、もうどうしよう… そんなことを考えていると、 「生咲~もうそろそろ帰らないと 大変だよぉ~」 そう言って教室に理沙が顔を出した。 理沙グッジョブ!!!! 「友達が来たので帰ります! さよなら!!!!」 言い逃げるが勝ちだ。そんなことを思いながらその場をそそくさと離れる。 あ、ちょっ、とかなんとか 聞こえるけど早足で立ち去る。 「理沙ナイス!後でクレープおごる!」 「え~なんかラッキ~♪」 「…帰っちゃった… いや、僕は負けない!!」 生咲はこの時謎の悪寒に身体を震わせる事となっていた。
/83ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加