第2章正直警察呼びたかった。

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「えっ?帰れないの?」 放課後に理沙といつも通り帰ろうとしたら先生に呼ばれたとかなんとかで一緒に帰れないと言われた。 「うん~どのくらいかかるか分からなくて~」 残念そうな顔で理沙が言う。 いつもなら待つのだけど今日の晩ご飯当番は私だ。作る時間と父親の帰宅時間を考えると長時間待てない。 「まあ、先生に呼ばれたんなら仕方ないよね。じゃあ先に帰るね。」 理沙がごめんねとかなんとか言って職員室に向かった。 1人で帰るのは別にいい。 だけどきっと今日も先輩と帰るだろう まあ、理沙のお兄さんも居るし… そんな風に思っていたのに 「え?お兄さん一緒に帰れないんですか?」 昇降口に待っていた神山先輩に哉太は 今日生徒会の仕事があるとかなんとかで帰れないと言われた。 お兄さん生徒会だったのか…完璧だ… 「うん、哉太は副会長だよ。」 「先輩…質問の前に答え言わないでくださいよ…」 考えを読みすぎだろう 「まあ、しょうがないので帰りましょうか…」 そう言って先輩を見ると驚いた顔をしていた。 「なんで帰りましょうって言っただけでそんな驚いた顔をするんですか?」 珍しくフリーズしていたので聞いてみた。 「えっ、あっ、だって2人きりなんて 一緒に帰るの嫌がると思ってたから…」 いつものポジティブはどこにいった。 なんか神山先輩にもネガティブになることがあるなんて 不意に笑いがこみ上げてきた。 「え、ちょ。なんで笑うんですか?」 あわあわとしている姿がまた面白い。 「先輩にも 、ふふっ、そんなマイナスな考え、持つこと、あるんですねっ」 あはははははと声を上げて笑う。 始めはオロオロとしていた先輩だったが最終的に一緒に笑いだした。 始めはあんなに嫌だったのにこの先輩もそんなに悪くないのかもしれない。 ようやく笑いが治まった。 「じゃ、先輩、今度こそ帰りましょうか。」 「あ、はい。よろしくお願いします。」 今日くらい先輩とお話ししてみよう。 今考えるといつも一方的に話しかけられるだけだった気がする。 たまにはいいだろう。 そうして2人で並んで歩きだした。
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