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そのやりとりを
襖から見つめる花梨、不機嫌
堪らず、
しかし自然を装い襖を開ける
部屋に入るな否や
猿生の腕を抱える花梨
花梨「お父さま!
私、昨夜の舞踏が簡単すぎて飽きてしまいましたわ!
あれより難しい演目を学ばせて下さい」
猿生「昨日のはウチの演目の中でも相当難しいんだよ?
あれより難しいのは習得に時間がかかるし、
何より小雪が合わせられないと」
花梨「そんな呑気な事を言っている場合ですか!?
春日野様のような上客様が来られた時に、
あの程度の演目を出しても
他の芸者一家に横から掠われてしまうだけです!
例え1人でも上質な舞踏を披露すれば
海老名を贔屓にしてくれますわ!」
花梨の熱意が猿生を奮い立たせる
猿生「そうか。
いや花梨がこんなに熱心になっているんだ!
鉄は熱いうちに打たねばな」
花梨「ありがとう。お父さま!」
猿生に抱きつく花梨
それをお玉に見せつける
猿生「さっそく取りかかろう!
花梨、舞台に上がってくれ。
お玉、そこに座り三味線の音を聞いて覚えてくれ」
お玉「・・・はい」
袖に座るお玉
舞台上で振り付けを教える猿生と
それを真面目に学ぶ花梨
親子の馴れ合いを羨み孤独を感じる
そこにお蝶が入る
お蝶「ちょいとお前さん。
春日野様からのお呼び出しだよ!」
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