第1章 兎野(うさの)家

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第1章 兎野(うさの)家

 秋のそよ風が吹きすさび少しずつ涼しくなっている今日この頃。兎野家の面々はいつも通りの日常を過ごしていた。刑事であり兎野家の司令塔である「兎野雪子」、長女で弟をこき使う小学一年生の「兎野美雪」、姉に振り回されているおかげで早熟になった長男「兎野昴」、そして無職であり毎日のようにゴロゴロしている雪子の夫であり美雪と昴の父親でもある「兎野みみ太郎」。この4兎達の波乱とニンジンと長い耳の日々は、笑いあり涙ありの娯楽超大作の様な感じで驚きと興奮に満ちたものになっているのだった。  みみ太郎は音楽を聴きながらリビングでゴロゴロしていた。パソコンで仕事をしていた雪子はそれを見てイライラが募るはかりで集中できずこの状況をどうするか考えていた。美雪はタブレット型のスマートデバイスで絵を描いている様だった。昴の方は携帯ゲーム機でゲームをしている様だった。雪子は教育上みみ太郎のゴロゴロしているのを放置すれば美雪と昴にとって良くないことを察知していた。その時仕事が終わったら夕飯の買い物に行く予定を思い出した雪子はみみ太郎に行かせることを思いつく思いつく。お金とエコバッグを用意しみみ太郎のヘッドホンを取り上げる。突然の出来事に戸惑うみみ太郎。「何をするんですか!?雪子さん!?」「みみ太郎さん、夕飯の買い物お願いします」「エー!?」思わず両手を上げて叫ぶみみ太郎。「雪子さんが行けばいいじゃん!」「私には仕事があるの。それに美雪と昴の前で父親が何もせずゴロゴロしているのを見れば教育上良くないでしょう」「何もしていないとは失礼な!呼吸をしているし、聴いている曲も超一流ミュージシャンの曲だよ!まさに芸術の秋にふさわしい姿勢ではないですか!?」「はいはい、とにかく行ってきてください」「むぅ!美雪!僕の代わりに行ってきて!」美雪がのたまう「あたしは今、絵を描いてるの。とても生産的だし芸術の秋にふさわしいの。だから無理なの」昴にもお使いを強要する。昴がのたまう。「今ボス戦だから無理」「みみ太郎さん、お使いお願いね?」「嫌です」突如雪子の身体から禍々しいオーラが立ちこめる。恐怖を感じるみみ太郎。「お使いお願いね?」「わかりました」みみ太郎はお使いに行くことを決めたのだった。
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