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其処へ、入れ換わりに飯田刑事が来る。 滝野川署より、『萌木 史絵』《もえぎ しえ》なる若手刑事を伴う。 雪の所為で遅れる捜査本部の設置を受けて、事故・殺人の両線で捜査すると決まり。 動ける彼女が此方に来た。
「里谷、木葉は?」
「聴き込み~」
「お前、仕事しろよ」
「さっきまでしてたっ。 食事は、権利っ」
「解った、終わったら捜査本部に行くぞ」
「ほい」
里谷刑事に、萌木刑事が来て。
「あの、何か有りましたら、教えて下さい」
手帳を出す里谷刑事。
「聴き込み、纏めてあるから…」
木葉刑事を待つ間に、飯田刑事は別の女性へ聴き込みに立つ。
そして、里谷刑事が食べ終えて、デザートに移る大山なる彼女と亡くなった種蒔氏について話す処に。
「里谷、萌木刑事、行くぞ」
と、飯田刑事が来る。
彼一人だから、里谷刑事が。
「木葉さんは?」
神妙な顔付きの飯田刑事。
「関係者を向こうで確保してる」
事件が動く、と里谷刑事が立ち上がる。
大山なる学生は、変化に敏く。
「刑事さん、食器はこのままに。 どうぞ、行って下さい」
「有り難う。 今度、奢るわ」
急展開だ。 外に出れば。
「木葉は、関係者と車に居る。 里谷、後ろに乗れ。 俺が運転する」
と、飯田刑事が言う。
別の車両で来た萌木刑事だから。
「あの、私も警察署に?」
飯田刑事が頷いた。
さて、滝野川署に向かう車の中。 木葉刑事と里谷刑事に挟まれて居るのは、学生の女性だ。 木葉刑事が話を聴くと、やはり大山なる学生の後に被害者と会ったのは彼女だった。
警察署に着くと、先に来ていた小山内理事官と笹井管理官。 話を聴いた笹井管理官は、
「里谷刑事と萌木刑事、直ぐに事情聴取を」
と、女性に命令する。
まだ、逮捕した訳ではない木葉刑事。 話を聴くと、同行を求めただけだ。
関係者の名前は、『野木 久美』《のぎ くみ》。 大学4年生だ。
話を聴く間に、木葉刑事が持ち出す彼女の革のバックが、鴫鑑識員から鑑識課へと。
自供と云うべきか、話は至極簡単な事だ。 同じ宇宙物理学を専行する学生と講師。 被害者とは肉体関係まで行ったのに、その実態は便利遣いされていた。 彼女は、被害者が講義で使う模型の作製を頼まれていた。 まぁ、命令と変わらないが。
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