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「小山内さん、笹井は?」
「被疑者と思える関係者が確保されましたので、別の捜査本部に」
「そうか…」
それでも木田一課長は、萌木刑事が被疑者を確保した事に成った経緯を聴く。 里谷刑事と木葉刑事は、点数が着かないので遠慮したが。 飯田刑事が居ないからと、萌木刑事にホイホイと笹井管理官が逮捕の手柄を遣ったと聴いて。
「全く、後を考えて無いのか」
だが、恐縮ばかりする萌木刑事の様子を見ていた小山内理事官。
「今回は、大丈夫だよ木田君。 それより、インフルエンザは大丈夫かね? 気管支炎まで行ったみたいじゃないか」
「もう大丈夫ですよ。 それより、木葉や飯田達は?」
「まだ、捜査しているよ。 現状には、他に足跡が残ってたみたいだ。 死体を見て、逃げ出した者が居たかも知れない」
「なるほど」
「木葉君を探してたのかい?」
「妻の風当たりが優しいのは、アイツぐらいですから。 夜食に連れ出すならば、アイツが一番ですよ」
「木田君。 それは、パワハラに成らんかね」
2人して笑う。
「ですが、里谷なんか誘ったら財布に痛いからな~」
ボヤく木田一課長は、捜査本部を出て行く。
今、年末に起こった事件の幾つかに、漸く決定的な目処が立とうとしている。 そろそろ容疑が固まり、被疑者の確保が始まるのだ。
夜、木葉刑事達が本部に戻る。
「本日は、帰れる者は早く帰りなさい。 明日、10時より捜査会議を行うからね」
小山内理事官と篠田班長しか居ない本部。 早々に帰る捜査員も居るが、木葉刑事は帰らずに残った。
篠田班長や小山内理事官を交え、年輩の刑事と事件の経過を話し合う木葉刑事。
夜の9時過ぎ、休む前に進藤鑑識員の元を訪ねて見るのだが。
「木葉殿、何用かえ?」
鴫鑑識員が居た。
「鴫さん、進藤さんは?」
「班長殿は、風邪気味ゆえにお帰りあそばれた」
「あ~らら、インフルエンザかな」
「木葉殿」
「はい?」
「お見舞、有り難きに」
「いいえ」
他の鑑識員も居る。 噂が付き纏う木葉刑事が来たから緊張したり、密かに監視する。
だが、鴫鑑識員が。
「木葉殿」
「はい?」
「本日は、未熟者ながら妾が話をして構わぬかえ?」
「別に、疑問や注意ならば鴫さんがしても構いませんよ。 見舞いの謝礼で、苛められるのだけは勘弁ですが」
「ふっ、木葉殿を苛めるなど、誰ができようか」
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