第三部:事件を追い、春へ。

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が、年配の刑事が。 (はっ、女好きが。 鴫とか云う鑑識員と話してたって聞いて、年甲斐もなくジェラシーだ) (自分が嫌われてるからって、嫉妬してやがる。 向こうから誘われるぐらいの、魅力が無い証拠だぜ) ヒソヒソと囁き合う。 笹井管理官の女性好きには、他の所轄の刑事からも苦情が出る。 一部から出た失笑は、木葉刑事へのものでは無い事を笹井管理官は気付いていたかどうか…。 解散となるや。 「木葉、熱いな」 こう飯田刑事がからかい。 市村刑事からは。 「羨ましがられてるな。 あの管理官の前で、腕でも組んで歩け。 嫉妬で憤死するぞ」 笑いを堪える八橋刑事が。 「今朝、鴫さんに無視されてましたよ。 うぷぷ、爆笑しそう」 だが、詰まらないと織田刑事が。 「それより、別の捜査本部じゃ、若手の女性刑事を優遇して、関係者を逃がしたってさ」 それはヤバそうと思う里谷刑事で。 「マジで?」 噂に掛けては耳が利く如月刑事。 「てか、別の刑事が確保して事なきを得たらしいけど。 木田一課長だけじゃ無く、笹井(あの人)を管理官に指名した総務部の部長からも叱られたみたいだよ。 総務課の職員が、胸ぐらを捕まれてるのを見たって…」 半目で笹井管理官を眺める織田刑事が。 「アイツ、春まで保つかね」 だが、飯田刑事が。 「この一件が早期解決すれば、まだ首は繋がるんじゃないか?」 すると、市村刑事が力を落とし。 「ヤバい、ヤル気が萎えて来た」 一課の刑事の周りに、割当てられた刑事が集まる。 捜査に出て行く皆だが。 笹井管理官が、別の捜査本部に向かうと。 「木葉刑事、よく遣った」 と、年配の応援刑事が言う。 また、 「木葉刑事は、実に飽きさせないね。 あの管理官が嫉妬する所を見て、気分が良くなったよ」 とも。 呆れた笑いしか浮かばない木葉刑事。 (どんだけ嫌われてるんだよ。 頼むぜ、管理官) と、捜査に出る。
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