第三部:事件を追い、春へ。

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さて、本日は不思議な日だ。 木葉刑事が、年配の女性刑事と男性刑事を一緒に、あの足跡痕を着けた靴の捜査を始める。 鑑識課に腰を低くして入れば、笑う進藤鑑識員やら、謝って来て頭を撫でそうな鴫鑑識員と絡む。 そして、何とか靴の裏側に小さいロゴが有ったと聞き。 現場の周辺の靴を販売する店に当たる事と。 昼頃、該当する靴を見付けた木葉刑事は、3人で捜査本部に戻り。 鑑定の依頼を出す。 足跡を扱う鑑識員が調べると、見事に一致。 現場に有った靴は、安全靴の類いだった。 その安全靴の販売は、全国的で在るが。 危険な作業を伴う現場や警備業界などではあまり扱われ無く。 どちらかと云うと、軽作業の現場で好まれると云う物だった。 更に、防犯映像に映っていた人物は、駅やらコンビニなどの防犯カメラの設置された場所を通っていない。 その事実を飯田刑事などに伝えて、新たな指示を仰げば。 小山内理事官が居て、次に被疑者と被害者の関係を調べるべく、八橋刑事の応援に向かう。 その向かう最中、車の中で。 運転する木葉刑事に、もう50歳を過ぎた女性の室伏刑事が。 「木葉刑事も、実に大変ですね」 と。 「はい?」 「妙な噂を立てられたり、鑑識員と話しただけで怒られたり」 「いえいえ、これも自分の不徳が招くんでしょうね」 だが。 「古川刑事の買っていた貴方だから、不徳と云うより鋭敏が過ぎるのでは?」 買い被りが過ぎる、と思う木葉刑事。 然し、後ろの席に座る痩せた男性の年配刑事が。 「鑑識員の鴫は、笹井管理官の御気に入りみたいだが。 向こうは、サッパリらしいじゃないか。 脈も無いのに嫉妬して、捜査会議で釘を刺すなんて、自分の恥さらしと解らないのかね。 あの管理官、評判が悪いよ」 こんな事を言われても、慰め処か苦笑いしか出ない木葉刑事なのだが。 処が、この年配刑事達も、篠田班が関わった事件が気になったらしい。 特に、あの遠矢、岩元、有賀の3人には、刑事として想い入れが有るのだろう。 かい摘まんだ話でもいいからと、話を聴いて来た。 話す間に大学に到着。 夕方も迫る3時過ぎだ。 八橋刑事等と合流し、聴き込みの進捗状況を聴く。 大学側の許可は有るので、失礼に成り過ぎないくらいに突っ込んで聴き回る。 やはり、あの被疑者の女子学生の献身ぶりは、第3者でも解ったらしい。
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