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被害者と被疑者の事を聴いて回るが。 学食施設の裏道を行く木葉刑事は、
「あら、昨日の…」
「刑事さん?」
と、2人の女性から声を掛けられた。
声の方を見れば、昨日の午前に被害者の働く職員事務所を訪れた際に、最初に声を掛けて話を聴いた講師の女性と。 もう1人、昼間に話を聴いた美人女性の大山なる学生である。
「あらら、今日は御2人で…」
この2人に話をまた聴けば、講師の彼女が興味を持った星の位置を探す時に、大山なる彼女が協力するらしい。 2人して理系だが、数字に強く。 研究する分野で御互いに協力が出来るのだそうな。
話し掛けたついでに、と思った木葉刑事だから。
「あの、この靴を見て貰えませんか」
昼過ぎに情報を得た靴の画像をスマホで見せる。
被害者に告白された、大山なる学生は知らないと言うが。
「あら、この靴・・青と緑の反射素材を使った靴。 確か、見た様な…」
講師の彼女は、知っているらしい。
「何処で、ですか?」
「えぇ~と…」
悩む女性講師だが、パッと閃く。
「そうだわ、この靴。 数学科の光島君が履いてた」
すると、女性の学生も。
「数学科の光島さんって、先生や他の教授の手伝いをしてましたよね?」
「そう。 彼、数学に天才的な才能が在るけど、物理や宇宙にも凄く興味が有るの。 相対性理論と量子力学の両方に使える計算式を考えたいって、良く研究にも関わってくれた」
「でも、先生。 彼は、種蒔先生の手伝いも良くしてましたよ」
2人の話を聴いて、その男性は何処に居るか聴くも。 もう大学院生で、4月より千葉に有る数学に関わる施設の職員に成るとか。 本日は、どちらも光島なる男性を見てないとの事。
2人と別れた木葉刑事は、飯田刑事や織田刑事に情報を渡す。 男性寮に居ると云うので、織田刑事と一緒に組む女性刑事が事情を聴きに行くと、例の靴が確認され。 また、本人も事実を認めた。
だが、ちょっと驚くべきは、その彼への事情聴取で在る。 光島なる大学院生は、少し小肥りな大男だ。 眼鏡に着古した上下のズボラな服装だが、見た目に反して頭脳はIQ:168と云う。
この光島なる若者には、或る欠点が有った。 それは、軽度の吃音症である事。 その所為か、子供頃から魯鈍に見られて馬鹿にされ続け、追い込まれる様に寡黙に成った。
だが、数学に関しては才人で、英語も書く事に関しては完璧だった。
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