第三部:事件を追い、春へ。

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そして、明けた次の日。 1月の初旬に、智親鑑識員と鴫鑑識員の他数名でバイキング形式の飲食店に行ったが。 今回は、別の場所に在るバイキング形式の店へ。 木葉刑事を含めた篠田班の5名に、鑑識課から来たいと言った6名。 所轄の警察署より、あの佐々木刑事と萌木刑事が来た。 嶽さんも来たがった、インフルエンザで休み明けだから辞めとくと。 だが、別に意外な人物も合流する。 「ふう、いきなり誘われたけど、時間が空いて良かったわ」 今来て座りながらこう言うのは、瓶内鑑識員だ。 そして、 「はぁ、なんか飲食店って落ち着く」 一人で異色な雰囲気を纏う美田園管理官だ。 二人して、本日は私服だ。 瓶内鑑識員は、ハイヒールにタイトなジーンズにハーフダウンジャンパー。 店で上着を脱げば、黒いツルツルした地のカジュアルシャツに、ベストを着ている。 一方、美田園管理官は、体にピッタリした肩を出すロングの黒いワンピに、肩へ腕を通して着るハーフニットセーター。 これに、防寒具のロングコートを羽織る。 これが普段のよそ行きの姿と聴いた里谷刑事より。 「美田園管理官ってなんか、普段の服がエッジ効いてますね」 煮物の大皿より、共用の菜箸でおでんを取る彼女が。 「私、ゲーム好きでインドアな人間なんですよ。 でも、高校や大学に通ってた時は、SNSでコスプレを上げてたから。 服装も、普通の人よりは少しズレてるかも」 然し、八橋刑事や市村刑事には、バッチリ範疇で。 「いや、悪くないッスよ」 「好みは、人それぞれだ」 と、フォローをする、 その最中、進藤鑑識員、鴫鑑識員に挟まれる木葉刑事は、バイキングで多数の小鉢に色々と盛ってきていて。 その内容を眺める鴫鑑識員が。 「ふむ、木葉殿は、魚に肉と、何でも食べるのぉ。 この紅いものは、イクラかぇ?」 熱々の丼ゴハンを前に、 「それは、鱒のイクラですね。 東北では、“筋子”って言いますかね」 と、紅い粒々の塊を乗せる。 「木葉ちゃん、イクラも有ったよ」 進藤鑑識員は、イクラや数の子を酒のアテに。 「いえ、シャケの子のイクラは、粒が大きく味が大まかッス。 それに比べ、鱒の卵は塩漬けが美味しいんですよ」
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