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「どうしたよ、女性用の化粧品が気になるかい? まさか、彼女にでも贈るとか?」
この質問に、女性達が一斉に木葉刑事を見る。
だが、表情を変えない木葉刑事。
「ね、織田さん」
「ん?」
「2万ならば、女子高生や大学生でも買えますよね」
仄かな希望が消えた、と女性陣は仕事に戻る。
坂野医師の指を見る織田刑事は、
「色合いが落ち着いてる。 然も、この透明感と薄い色は、唇の色を引き立たせる為だろう? 若者が使うにしちゃ、ちょっと地味じゃないかい?」
と、女性としての意見を。
すると、遠い目つきに成る木葉刑事。
「それじゃ、10代の頃の織田さんは、もっと度ぎつい色を?」
「フン。 アタシにだって青春可憐な時期が在ったのよ」
「マジですか」
木葉刑事の追求に合わせ、他の男性刑事達が遠い眼で織田刑事を見た。
「木葉、枯れ葉にしてやろうか?」
織田刑事のギラリと細まる睨み目に晒され、回れ~右をした木葉刑事。
「しっごと♪ しごと~♪」
元唄が解らないが、明るい調子で去って行く木葉刑事。
だが、まだ見ている市村刑事と八橋刑事と如月刑事。
3人を睨み返す織田刑事。
「おんどりゃ、何か文句有るのかいっ?」
自然解散する3人。
其処へ、坂野医師が。
「あの木葉さんに、女性への気配りや優しさが在りますかね」
と、覚めた意見が。
何の話かと、里谷刑事は彼女を見るが…。
織田刑事は、ゴムの手袋を外しながら。
「アイツにだって、本気で惚れた女を愛する気持ちは持ってるよ。 今も、それを体現してる」
と、聴き込みに歩く。
織田刑事の急な変化に戸惑う坂野医師。
また、被害者を入れる寝袋の様なシートを持ってきた鴫鑑識員も。
「あの御方は、意外と女性垂らし故な。 思わぬ時や普段とは違う時に、本音や慈しみが窺える。 普通に観ていては、中々に本性が解らぬお人よ」
里谷刑事と坂野医師が、発言した鴫鑑識員を見ると。 麗しい鴫鑑識員が、飯田刑事と話し合う木葉刑事を愛おしそうに見ていた。
その気持ちが解る里谷刑事は、ちょっと嫉妬してか。
「随分と御理解してますこと」
言われても、女性らしい微笑みを浮かべる鴫鑑識員で。
「一応、ケーキの件も在るでの」
食べさせて貰った事を思い出す里谷刑事。 ムッとするや。
「うぉいっ、木葉! アタシもインフル遣ったぞぉっ! ケーキはどいしたぁっ」
周りを気にせず怒鳴り付ける里谷刑事。
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