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八橋刑事と如月刑事を軸に、今時のアイドルグループの話が始まった。 歴史ブーム、刀剣ブームに乗っかり、アイドルながら殺陣を魅せる舞台をやるグループが有り。 そのグループの準主役で人気がうなぎ登りな少女が、“サムライ耀子”と云うらしい。
全く知らない木葉刑事だから、違う世界を覗いているみたいに色々と尋ねる。 画像を見せて貰うと、確かに鴫鑑識員に少し似たとんでもない美少女だった。
キモいオジサンの話で盛り上がったが、里谷刑事がハッと思い出して。
「あ。 処で、木葉さん」
「はい?」
「留置場看守職員の曽根崎ちゃんが、一度だけ面会に来て欲しいってさ」
その話に、市村刑事が眼を凝らす。
「木葉っ、お前…。 曽根崎にも手を出したのか」
“手を出した”とは、なんと云う言われ様か。
「手を出すって、市村さんじゃ在るまいし…」
だが、美田園管理官も気になる。
「でも、“面会に”って・・変じゃないの?」
然し、木葉刑事は何の事か解っていた。
「多分、面会したいのは朝比奈さんだ」
「朝比奈・・って、関係者だった女性の?」
「はい。 波子隅と肥田に支配されていた彼女でしたが、その鎖も切れました。 逢うことは叶わなくとも、子供を第一に思う母親でしたから。 差し入れに、今のお子さんの写真を差し入れしました」
日本酒の残りを進藤鑑識員のグラスに入れる鴫鑑識員。
「木葉殿は、ほんに人の気持ちが解るのぉ。 その女性も立ち直って、新たに人生をやり直して貰いたいものよの」
だが、皆に感心されている木葉刑事が。
「処で、鴫さん」
「何で在ろうか」
「あの、季節限定のロイヤリクラウン・ドゥ・フロイライン。 ぶっちゃけ味はどうでした?」
と、爆弾発言を。
市村刑事が、里谷刑事の前では不味いと思った瞬間。
「あ゙っ、ケーキっ!」
と、あの事件を思い出す。
煩い里谷刑事を他所に、如何にケーキが味わい深かったか語る鴫鑑識員だが。
「そう云えば、木葉殿はあの時に賞味されなかった…」
「実は、予約をしてくれた越智水先生から聴かれたんですよ。 良かったら、奥様に買おうかと言ってましたよ」
里谷刑事が何故に煩いのか、どーでもよい事件の詳細を聞いた瓶内鑑識員だが。
「あのケーキの差し入れは、ちょっと羨ましいわ」
ケーキが大好物の美田園管理官も。
「木葉刑事。 今度は“訳在り”の安いケーキじゃなくて、そちらを差し入れに」
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