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「美田園管理官。 予約必須で数日待ちですよ。 パティシエの方と知り合いとは云え、越智水先生にそんな度々と迷惑を掛けられませんよ」
この間も、ケーキの怨みを喚く里谷刑事。 市村刑事と八橋刑事が宥め役になるが、全く効果が無い。 酒が入って陽気に成る保科鑑識員やら佐々木刑事が茶々を入れ。 里谷刑事は、益々熱く煩い。
“氷結の無表情”たる異名を持つ美田園管理官だ。 煩い里谷刑事を全く気にせず。
「越智水医師って、さいたま市の有名大学に居る解剖学と外科の権威じゃ…」
頷く進藤鑑識員が、赤い顔をして好好爺の様になり。
「古川さんのお嬢さんを預かってくださっているそうだ。 いや~、立派な人は、人間性も素晴らしい」
其処へ来ても、余りにも煩い里谷刑事だ。 イヤに成った木葉刑事が、
「解りました、里谷さん」
と、理解を示す。
“やっとこさケーキを買って貰える”
と、期待を風船の様に膨らませる里谷刑事。
「買ってくれるぅ?」
ホロ酔いで愛らしく甘える彼女の様子は、篠田班の皆にして見れば不気味で妖怪に近い。
酒の入ったグラスを持った木葉刑事が。
「いえ。 スペシャルなケーキと云う事で、亜歌璃さんにケーキを発注してみます」
「ブーーーーーーっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
口に含んだ酒を辺りへ吹き出す里谷刑事。
「わ゙ぁっ、里谷っ!」
「里谷さんっ」
「ちょっとっ!」
「どぅわあっ」
飛沫が掛かる周りの皆。
だが、目をギラギラと見開く里谷刑事で。
「キサマっ、アタシをコロス気かっ!」
「里谷さん殺人事件ッス」
「捜査本部も立たんわいっ!」
怒る里谷刑事へ、苦情の嵐が襲う。
笑う木葉刑事は、悠々と鴫鑑識員や進藤鑑識員に理由を話す。 意味が解って笑う側と、里谷刑事に苦情を云う側に場が別れた。
また、木葉刑事が毒物として、正月にこっそり写真を撮っていて。 その料理の有り得なさに、一同が引いた。 里谷刑事も、如何に不味いかを酔いに任せて力説する。 スマホに在る写真で見れば、愛らしく芸術性の才人と知る一同。 それなのに、料理が恐ろしく下手と聴けば、勝手に“魔女”と渾名まで…。
唐揚げを箸でつまみ上げた如月刑事が。
「ウチの妻も料理が奇抜だけどさ、毒物までは行かないよ」
と、諦めを持った。
料理はとても得意な鴫鑑識員やら美田園管理官。 どうやったら毒物に成るのか、木葉刑事と里谷刑事の話より、想像で検証する。
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