第三部:事件を追い、春へ。

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進藤鑑識員や瓶内鑑識員は、それで死んだ場合の現場検証を想定してみる。 一緒に来た保科鑑識員を含む鑑識員達も、それに加わるのは職業病か。 里谷刑事や市村刑事は、刑事として捜査を想定するも。 聴き込みに入る前に、話す八橋刑事より、 “ってか、里谷さんが死体でしょ?” と、突っ込まれ。 “煩いっ! 空想だから八橋が死体だっ” こう吼える里谷刑事だが。 其所へ、木葉刑事より。 “動機付けは必要ないッスよ。 所詮は、悪意も他意も何も無い只の事故ッス。 殺人にするならば、女性の怨みを買うと云う処で市村さんを死体に…” この意見を聴くや、里谷刑事や鴫鑑識員に、瓶内鑑識員や美田園管理官までより一致で納得される。 “木葉っ、お前なぁ…” 恨み節を云う市村刑事だが。 鴫鑑識員より、 “女性を取っ替えひっかえして、結婚願望が現れたら別れるとは何事か” と、本気で呆れられる。 本命にしたい鴫鑑識員と美田園管理官より醒められて、肩身が狭くなる市村刑事。 「木葉っ、覚えてろよ…」 怒るに怒れない状況の中。 今度は、鴫鑑識員と里谷刑事が2人して、珍しく馬が合う。 「聞いて。 市村ったらさ、結婚したいって言われた主婦を切って。 今度は、総務課の峯岸ちゃんとお付き合いだって」 「ふむ。 不倫を解消し、後腐れなき若い女子を抱えたのかえ。 何とも落ち着きの無いご人よのぉ。 片や病気、片や世間知らずじゃ」 「火遊びが何処まで続くやら、よ」 「不倫が拗れて問題となり明らかに成れば、公務員として居れぬ。 最初から、この御方は遊びのみだったのが読めぬとは、その相手方も夢中が過ぎたか。 然し、本に危うい火遊びよ」 かなり覚めた物言いで言われ、市村刑事も返す言葉も無い。 木葉刑事と進藤鑑識員は、不味い料理のネタで話が尽きない。 こうして、某一人を除いて、楽しい時間はアッと云う間に過ぎた。 明日から、また仕事が待っていた。
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