第三部:事件を追い、春へ。

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(鴫が好きな相手の噂の一人が彼みたいだけど、本当に彼なら理解が行くわ。 笹井の顔は要らな~い) 踵を返す曽根崎職員。 笹井管理官が食事に誘った一人は、この曽根崎職員で在った。 その日、証拠品として押収した物で、必要の無い物を返却したりする篠田班。 その午後の事。 薬物中毒だった女性の家に、一部の押収物を返却した木葉刑事と八橋刑事と市村刑事。 その帰り、車の中で。 運転する市村刑事が。 「木葉、テメェ。 昨日の爆弾発言は、根深いぞ」 助手席でしれぇ~とし、余所見する木葉刑事。 後ろに居た八橋刑事ですら。 「里谷さんに、タブーがまた増えましたよ。 ケーキって、かなりメジャーな単語ですよ、木葉さん」 またまた、しれ~っと横向く彼だが。 「じゃ、穴埋めじゃ~在りませんが。 美女の居るお店に行きますか」 後ろの席から前に顔を出す八橋刑事。 「美女っ?」 と、彼女の居る身ながら食い付く。 一方、眉唾物と目を細めた市村刑事。 「まさか、美女ってのは里谷じゃあるまいな」 「イヤイヤ、そんな訳無いッス。 美女が居るのは、六本木のクラブです」 「ほぅ、玄人か」 「行きます? 自分は用事が在るので、行かなければ成りませんが」 「お前が、六本木のクラブに?」 「はい」 「ふぅん…」 何か、必要だから行くと、深く尋ねなくても察した彼だ。 その夜、市村刑事と八橋刑事に、男性職員が何人か一緒に来た。 木葉刑事が八橋刑事に連れる人数の相談すれば、今流行りのアプリで誘いを掛けた彼で。 “美女のママ” に、男性職員が釣られたのだ。 で、あのクラブ“アシュリー”に行く。 「あら、いらっしゃい」 タイトでボディーがくっきりする短いワンピのドレスを着た、あの美人の女性店主が現れた。 「レベル高ぇ…」 「うぉぉ…」 「マジかっ、当たりだ」 「大当たりだよ」 男性達が見惚れる中、彼女に微笑した木葉刑事。 「上役の方は知らないので、何とか同僚を…」 一緒に来た男性職員の一人は、総務部の係長。 一人は、若きエリートコースを行く予定の広報の職員。 他、刑事や内勤職員が5人ほどだ。 「いらっしゃいませ」 「ようこそ」 美女や愛らしい女性スタッフが多い店だ。 今日は客入りがまだ少ないらしく、大きなテーブルに女性が6人も。
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