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「フンっ」
車から出ながらライセンスを取り出す里谷刑事。
だが、一緒に木葉刑事も。
「刑事ですっ」
警備員の年輩女性にライセンスを提示した里谷刑事。
「け、刑事?」
眼鏡が顔に埋まっているみたいな雰囲気の女性警備員に、同じくライセンスを提示した木葉刑事が。
「実は、此方の大学で講師をされている種蒔さんが、向こうの公園で亡くなっていまして」
「え゙ぇっ!」
驚く年輩の女性警備員。 オタオタと狼狽えて。
「あっ、あっ、どうしたら…」
「あの、種蒔さんの事を御窺いしたいのですが、何処に行けば…」
「あ~っ、種蒔さんは宇宙物理の講師ですから、B棟の2階ですね」
「それは、どちらの建物ですか?」
「あっちっ」
車を来客用の駐車場に停めて。 大学校内を歩く3人は、若い男女の学生が歩いている光景を眺める。 講師の質が高く、有名な教授を抱える有名大学だからか、大学としては賑わっている様だ。
「ゔ~、雪がウザい」
路面が凍っていて、靴で歩く里谷刑事でも危ない。 転んでいる学生も居た。
さて、ドーム場の建物に併設されたタワー型の建物。 その2階の事務所に向かうと、女性8割の職員がガヤガヤと。
その中に入る里谷刑事と飯田刑事は、この事務所の偉い人は何処かと聴いた。
が、木葉刑事は違う。 眼鏡を掛けた地味な細身の女性へ、真っ直ぐに向かう。 紺色の長いスカートを穿く彼女は、ロングコートを脱がないままに何かの準備をしていた。
「すみませんが」
「えっ?」
いきなり声を掛けられて、ビクッと驚く女性職員。
「あ、あの…」
尋ねられたが誰か知らない、と髪の長い女性職員は緊張した顔をする。
一方、この女性の脇に、亡くなった男性の念と云える姿を視る木葉刑事。
「あの、警視庁の刑事をしています者なんですが」
「えっ? けっ、刑事・・さん」
「実は、本日。 種蒔さんが亡くなって発見されまして…」
「え゙っ!」
ギョッとする彼女の顔だが、別の方を見れど怪しい様子が無い。
「あの、種蒔さんがお付き合いしていた相手とか、トラブルに成った人物を知りませんか?」
木葉刑事が問い掛けるなり。 この地味な印象の女性は、酷く困った様子を態度に見せながら。
「わ・わ、・・私、です」
「はい?」
木葉刑事に向かい合う女性で。
「種蒔さんは、その・・女性に好かれる方なので、あ・・お付き合いされている方・お、多いと…
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