第三部:事件を追い、春へ。

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「フンっ」 車から出ながらライセンスを取り出す里谷刑事。 だが、一緒に木葉刑事も。 「刑事ですっ」 警備員の年輩女性にライセンスを提示した里谷刑事。 「け、刑事?」 眼鏡が顔に埋まっているみたいな雰囲気の女性警備員に、同じくライセンスを提示した木葉刑事が。 「実は、此方の大学で講師をされている種蒔さんが、向こうの公園で亡くなっていまして」 「え゙ぇっ!」 驚く年輩の女性警備員。 オタオタと狼狽えて。 「あっ、あっ、どうしたら…」 「あの、種蒔さんの事を御窺いしたいのですが、何処に行けば…」 「あ~っ、種蒔さんは宇宙物理の講師ですから、B棟の2階ですね」 「それは、どちらの建物ですか?」 「あっちっ」 車を来客用の駐車場に停めて。 大学校内を歩く3人は、若い男女の学生が歩いている光景を眺める。 講師の質が高く、有名な教授を抱える有名大学だからか、大学としては賑わっている様だ。 「ゔ~、雪がウザい」 路面が凍っていて、靴で歩く里谷刑事でも危ない。 転んでいる学生も居た。 さて、ドーム場の建物に併設されたタワー型の建物。 その2階の事務所に向かうと、女性8割の職員がガヤガヤと。 その中に入る里谷刑事と飯田刑事は、この事務所の偉い人は何処かと聴いた。 が、木葉刑事は違う。 眼鏡を掛けた地味な細身の女性へ、真っ直ぐに向かう。 紺色の長いスカートを穿く彼女は、ロングコートを脱がないままに何かの準備をしていた。 「すみませんが」 「えっ?」 いきなり声を掛けられて、ビクッと驚く女性職員。 「あ、あの…」 尋ねられたが誰か知らない、と髪の長い女性職員は緊張した顔をする。 一方、この女性の脇に、亡くなった男性の念と云える姿を視る木葉刑事。 「あの、警視庁の刑事をしています者なんですが」 「えっ? けっ、刑事・・さん」 「実は、本日。 種蒔さんが亡くなって発見されまして…」 「え゙っ!」 ギョッとする彼女の顔だが、別の方を見れど怪しい様子が無い。 「あの、種蒔さんがお付き合いしていた相手とか、トラブルに成った人物を知りませんか?」 木葉刑事が問い掛けるなり。 この地味な印象の女性は、酷く困った様子を態度に見せながら。 「わ・わ、・・私、です」 「はい?」 木葉刑事に向かい合う女性で。 「種蒔さんは、その・・女性に好かれる方なので、あ・・お付き合いされている方・お、多いと…
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