第三部:事件を追い、春へ。

6/37
前へ
/37ページ
次へ
「ほぉ、ほぉ」 「でも、トラブルに成っていたのは、私・・です」 「それは、どんなトラブルでしょうか」 「あ、コレ…」 女性は、一枚の拡大された写真を持ち出す女性。 その写真を見た木葉刑事は、白い空間にややボヤけた大小様々な点を写したらものを見るなり。 「これ、もしかして・・遠くの銀河ですか?」 この応えに、女性がパッと明るくなる。 「あ、解りますかっ」 「これは、望遠鏡とCCDカメラを使った写真みたいですね。 以前、天体の不思議を解く雑誌で見た様な」 すると、女性がいきなり解説をし始める。 大学の一番高い棟の屋上に、沢山の望遠鏡とCCDを組み合わせた観測器を接地し。 それを高性能PCと繋ぎ、遠くの宇宙を観測すると云うのだ。 さて、凄まじい圧で話してくれる女性の説明を聴いた木葉刑事は、謎を交えて最後まで聴く。 周りの職員が、何をしてるのかと思う中で。 「素晴らしい写真ですね」 「はいっ、これさえ解析が進めば、新しい研究が出来ると思うんですっ」 「ほうほう、処で。 この写真と、種蒔さんがどんな関係が?」 「あ゙っ、私ったら…」 一方的に話をし捲った女性は、自分のバカと凹みながら。 「実は、種蒔さんから研究のデータを解析する計算ソフトを寄越せと要求されていました」 「データを計算する・・ソフト?」 「はい。 遠くの銀河も解析が出来る、計算ソフトを作って使っていたんです。 でも、宇宙物理、素粒子物理の分野の種蒔さんは、その計算ソフトを使って別の研究をしたいと…」 「なるほど。 でも、計算ソフトは、貴女の自前で?」 「はい。 父と、私と、兄で作りました」 「では、有る意味で著作権みたいなものが発生しますか?」 「あ゙~、似たような計算ソフトは、研究者が其々に自前やら共同研究者と作っていると思います」 「然し、観測の計算ソフトを、物理や素粒子っていう膨大だったり、極小の分野の種蒔さんがどうして?」 「あ~、それは恐らく、ブラックホールの事に関係するかと…」 「あの、謎の天体の?」 「はい。 この計算ソフトの一部は、小さく写る銀河や星団を、実寸大に近付ける計算が入っていまして。 ブラックホールの研究をする種蒔さんは、これが欲しいと…」
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加